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死ねない…
ついこの間まで…
僕は我が世の春を謳歌していた
新進気鋭のデザイナーにして
世界博覧会エンブレム製作者
称賛のただ中にいた
この国の新しいデザインはすべて
何かの亜流…
で
良かったはず…
なのに
時代の流れを取り上げるセンス
それこそがクリエイティブディレクターの役割…
弱者の世に出ないデザインを
正しいポジションにある者が世に発表し、クライアントの称賛を受ける
その為に必要なのは創造性ではない
高い学歴と一流広告会社に勤められる生活水準と太い人脈つまりはコネだ。
だからこそ、あの仕事は"僕に"依頼された訳で…
過当競争に勝てない人間に創造性は必要ない。その創造性を経済活動に変えられてはじめて、クリエイターは機能する
いつも通りにデザインした
注目度の低いビジュアル素材をピックアップして、原型を誤魔化せる程度には加工して…今回も著作権から逃げ切れるくらいには巧くいったはずだった。
「私は盗作などした事はありません」
報道陣の前で堂々と応対した
なのに…
忙しい時期に重なった仕事の事まで調べられるとは思わなかった…
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