転生ゾンビの異世界奇譚

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 ……思えば、日本の高校生杉本雄一がギース・ナイトウォーカーとして転生してから本当に色々な事があった。  レベル1のクソザコからスタートし、幾多の苦難を乗り越えて……そして今、ようやく1つの節目を迎えたと思ったら、即また息つくヒマも無い怒涛(どとう)の日常へと引きずり込まれていく。  ある種地獄のような日々の中を、しかし、それでもギースは雄黄色の瞳をギラつかせ、『そいつがどうしたよ?』と言わんばかりの裂けるような笑みと共に、引かず、媚びず、省みず、ただひたすらに邁進していく。  ……やがて、うっすらと明るくなり始めた地平の彼方を見据えながら、ギースは今までよりも大きなストライドで走り始めた。  その時、  『……今まで道を間違えたまま、ずっと一人で歩いて来たキミだから……。来世では、一度目で気付けなかった大事なものに触れて、大切な事を沢山学んで欲しいんだ』  ふと、ギースの脳裏にかつて生と死と転生の女神から言われた言葉が去来した。  ……前世同様、相変わらず道は間違えたまま、それでも……。  ふとギースが振り返ると、そこには必死の形相で騎士達から逃げる仲間の姿があった。  少なくとも、今は一人ではない。
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