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俺たちのことを、これ以上興味本位で聞かれたくはない
話しを切り返すと
うまい具合に水戸がボールを拾ってくれる
この旅行の収穫は
水戸という存在だったのかもしれない
墓参りの話しのこともあるが
俺は優子さんと二人になりたくて
時計を確認しながら
「そろそろ出ようか?」
優子さんに耳打ちすると
時計を確認し小さく頷いてくれた
「俺らは先に行くけど
集合時間には遅れるなよ」
伝票に手をかけると
「ごちそうさまでーす!」
水戸が大きな声を出す
思わず吹き出してしまいそうだ
店を出て、また二人で歩き出すと
ポツリポツリと優子さんが話しはじめた
「洵が居なくなって15年経ってるなんて不思議よね」
「あぁ」
「新入社員だったのに、今じゃ係長さんだものねぇ」
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