124人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
ユヅルんちの最寄りの駅から
10分ほど歩き ユヅルんちに着いた。
ユヅルは鞄から取り出した鍵を鎖し
右にガチャっと回し玄関の鍵を開けた。
ユヅルはオレに先に入れと顎で家の中を指す
自分んちのように「ただいまー」
と言って玄関に入る。
ユヅルは先に靴を脱ぎ階段を上がる
オレも後ろに付いて上がる。
2階奥のユヅルの部屋に入りベッドに座る。
初めてユヅルの部屋にタカと遊びに来た時、
狭いからオレとタカはベッドに座われと
ユヅルに言われ、来るたびにベッドに座るオレ。
ユヅルはいつも机の椅子か床に胡座をかいて座る。
鞄を机の上に置き、オレに振り返り、
「何か、飲む?」
特に考えているわけでもないのに唸る。
『 …んー 』
「あ! マサミの好きなオレンジジュースある」
『じゃ それ』
取って来るって部屋を出て行く後ろ姿を見つめる。
何度か遊びに来て目にしているキッチン。
冷蔵庫も何処にあるか分かっている。
…だから、
今冷蔵庫からオレンジジュースを出してコップに注いでいるんだろ
と想像しつつ待つオレ。
ドアが内側に開き缶ジュースを2つ手にしている姿を見て思わず笑う。
ちょっと違ってたなってヘラっと笑った。
ユヅルは へ?って顔したけど特に振れずにジュースを差し出した。
受け取りプルタブに指先を引っ掛け空ける。
オレンジジュースの酸っぱさが喉をキュッと締め付ける。
ゴクゴク喉を鳴らし飲み半分飲んだところで
缶ジュースから口を離しユヅルを見る。
ユヅルは椅子の上で胡座をかき
膝を立て その足の上に肘を付く
左手に缶ジュース、右の掌に顎を乗せオレを見ていた。
その格好にドキッとし、
慌てて何かを隠すようにジュースをもうひと口飲んだ。
最初のコメントを投稿しよう!