君の言うままに…その先。

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ユヅルんちの最寄りの駅から 10分ほど歩き ユヅルんちに着いた。 ユヅルは鞄から取り出した鍵を鎖し 右にガチャっと回し玄関の鍵を開けた。 ユヅルはオレに先に入れと顎で家の中を指す 自分んちのように「ただいまー」 と言って玄関に入る。 ユヅルは先に靴を脱ぎ階段を上がる オレも後ろに付いて上がる。 2階奥のユヅルの部屋に入りベッドに座る。 初めてユヅルの部屋にタカと遊びに来た時、 狭いからオレとタカはベッドに座われと ユヅルに言われ、来るたびにベッドに座るオレ。 ユヅルはいつも机の椅子か床に胡座をかいて座る。 鞄を机の上に置き、オレに振り返り、 「何か、飲む?」 特に考えているわけでもないのに唸る。 『 …んー 』 「あ! マサミの好きなオレンジジュースある」 『じゃ それ』  取って来るって部屋を出て行く後ろ姿を見つめる。 何度か遊びに来て目にしているキッチン。 冷蔵庫も何処にあるか分かっている。 …だから、 今冷蔵庫からオレンジジュースを出してコップに注いでいるんだろ と想像しつつ待つオレ。 ドアが内側に開き缶ジュースを2つ手にしている姿を見て思わず笑う。 ちょっと違ってたなってヘラっと笑った。 ユヅルは へ?って顔したけど特に振れずにジュースを差し出した。 受け取りプルタブに指先を引っ掛け空ける。   オレンジジュースの酸っぱさが喉をキュッと締め付ける。 ゴクゴク喉を鳴らし飲み半分飲んだところで 缶ジュースから口を離しユヅルを見る。 ユヅルは椅子の上で胡座をかき 膝を立て その足の上に肘を付く 左手に缶ジュース、右の掌に顎を乗せオレを見ていた。 その格好にドキッとし、 慌てて何かを隠すようにジュースをもうひと口飲んだ。
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