君の言うままに…その先。

5/10
125人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
  オレの前を歩るくユヅルが振り返り、 『マサミ。遅い、横に来いよ』って呼ぶ。 オレは少し早歩きで並び前を見る。 廊下を掃除しているタカが目に入る。 向こうも気づき歩み寄り、 「もう 帰るのか」と、 オレたちの顔を見る。 『おぅ 帰る…何、掃除当番』ってユヅル。 「あれ。ユヅル何か機嫌よくね」って、 薄く笑うタカ。 こいつは勘だけはいい。 オレがユヅルを好きだって事も、 オレよりも先に気付いた。 普段あまり喋らないユヅルが今は喋ってる、 それだけで機嫌がバレてる。 まだエロい事をした訳でも無いのに これから起こるかもしれない、 ちょっとエロい事を妄想し ひとりあたふたと焦るオレは、 ヤバくねーって、変な汗が吹き出す。 マサミってタカに呼ばれてピクッて驚く。 へ? …な、なに。 声が上擦る。 そんなオレをタカと一緒にユヅルも見る。  ユヅルは無神経にも『マサミ、顔赤い』 ユヅルを睨み、お前が言うな! って頭の中で叫ぶ。 タカは口角をニッと引き上げ含み笑いで、 「マサミ…もう帰っていいぞ」って。 更に顔が火照るのを感じたオレは、 帰る帰る… 「帰るぞ。ユヅル」って、 言ってズンズンと歩き出す単純なオレ。 ユヅルは思う。   オレの態度よりマサミ自身の態度で、 バレている事に気づきもしない マサミが可愛くて仕方無いと。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!