お金じゃ買えない

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そこには、「お父さん、ありがとう」とメッセージが書かれている。 僕は嬉しくて涙が溢れる。 警官が不思議そうに訊ねてくる。 「そんなに大事なものなのかね?」 僕は、こくりと頷いた。 「これは、上の娘が僕にくれた大事なものなんです。このカードで、はじめて僕をお父さんと呼んでくれたんです……。これがあれば、僕はいくらでも頑張れる……」 そこから、警官に僕には二人娘がいることを教えて、上の子はお嫁さんの連れ子だということまで話した。 警官たちは半ば呆れていたが、僕が礼を言って帰ろうとしたときに「頑張れよ、お父さん」と声をかけてくれた。 僕は交番を出て、もう一度そのカードを確認した。 「これだけは……、これだけは絶対なくさないから……」 そう呟いて僕は真夜中、家路についたのだった。 了image=499369935.jpg
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