1001人が本棚に入れています
本棚に追加
/321ページ
捜査を終えた頃、気付いたら書斎にノアの姿はなくなっていた。
仕方なく、ノアを探しながら関係者に話を聞こうかと邸の探索へ出る。
ちょうど昼頃だったので、誰かしらいるだろうと見当をつけて一階東側にある食堂へ行くと、島に着いたとき出会った少女が一人で座っていた。
「あ。おにーさん」
「どうも。話を聞かせて貰いたいんだが、少しいいか?」
「いいよ」
映画でしか見たことがないような長いダイニングテーブルに腕をついて少女の正面に座った。
手帳を開き、地元警察から聞いた関係者の簡単なデータと照合する。
相続人である三人のうち、一人が女性。これか。
「名前はロレッタ・グレシャムで合ってる?」
「そう。ノアくんとは従兄妹だよ」
どうりで、似てるわけだ。性別の違いこそあれど、兄妹と言われれば納得してしまうくらいには似ている。
感情が表に出ず、受け答えはぼけっとしていて、性格はそうでもないようだが。
「被害者との関係は?」
俺は右手にペンを持った。
「私はディアンおじさんの後継者なんだ」
「後継者というのは、男爵の称号を継ぐということ?」
「おじさん、子供いないから。一番近い親戚で籍を動ける私が取り敢えず後継者ってことになってたの」
最初のコメントを投稿しよう!