第1章

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僕の斜め右前の席に座って、雑談しているクラスメイトの声がした。 声の感じからすると、アホの山田だろう。 僕はこいつが嫌いだった。 アホで喧嘩も弱いくせに、大人しくて、あまり反抗して言い返さない僕をからかっていたからだ。 どうせ、山田はトロンをして、ニヤケながら女の子を見ているんだろうなと思った。 僕は自分の机に突っ伏した格好で寝ている振りをしながら、 『オメェなんかになびく事はねえよ』 と、心の中で悪態をついた。  アホの山田が言う玲奈ちゃんとは、村上玲奈という同じクラスの女子で、 この学校の中でもひときわ目を引く美人だった。 芸能人で言うと、芸能人の菜々緒 さんに似た顔だちで、 僕の数少ない友人の上村もファンの一人だった。
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