第4章

2/3
1164人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
 湊さんと言い合いになってしまったことが心に引っかかって、ほとんど眠れないまま朝を迎えた。 目覚めてすぐスマートフォンを見てみたけれど、やっぱり連絡はない。 ーーーああ、どうしよう…… 気が重い 仮病でドタキャンしたりしたら……いや、さすがにまずいか  高校時代にもこういう喧嘩をしたことがある。 あれは、僕が湊さんに釣り合いたくて空回りしてしまったことが原因だった。 “そういう”目的と知らずに親しくない男の人についていってしまい、ジュースと偽られて飲まされたお酒に酔った挙句、襲われかけたことがあった。 あのときはそれはもうきつく怒られて、しばらく口もきいてもれなかった。  でも今回はそういう理由じゃない。 相手は友達だし、ましてや自分でなにもできないくらい体調の悪い相手で、何かされるなんてありえない状態だった。 それを知っているはずなのに、あんな言い方ってあんまりだ。  眠くてしょぼしょぼする目をこすりながら、とりあえずデートのための準備をする。 ーーーカメラの充電……忘れてた あんまり使わなきゃ今日1日くらいもつかな? 服は……と、とりあえずこれでいいか ああもう、早く家を出ないと遅刻しちゃう!  とにかく最低限の身支度だけして家を飛び出し、待ち合わせ場所にしていた駅に向かう。 普段は早くつきすぎちゃうくらいなのに、今日はなにかと時間がかかってしまった。 いつも待ち合わせ場所にしている駅前の変な銅像の前についたのは、待ち合わせ時間ぎりぎりだった。 ーーー湊さんは……まだ来てないみたい  これも珍しい。 湊さんはいつも10分前には待ち合わせ場所に来ている。 なにか理由があって遅れるときは、絶対に連絡をくれた。 でも相変わらず連絡は何もない。 ーーーもう少し待ってみよう  それから15分ほど待ってみたけど、湊さんは来なかった。 そして連絡もなかった。 ーーー変だな…… 電車が遅れてるだけかもしれないから、もう少し待つか……  でも30分待っても湊さんは来ない。 さすがにおかしいので、しかたなくすでに待ち合わせ場所についていることをメッセージアプリで送ってみた。 ーーーあ、既読ついた ということは、スマホを見られる状態ではあるんだ ……でも返信がないな……  しばらく待ってみたけど、返信はこなかった。 ということは、メッセージは確認しているけど無視してるってことか。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!