兄と姉

2/8
210人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
とうとうやってきた千尋と颯太の結婚式前夜。 独身最後の夜だからと実家に戻ってきていた千尋と、俺の家族と律香の家族も実家に集まって大宴会だった。 千尋がしおらしく両親に挨拶、なんてことをする暇を与えないかのように親父が酔いつぶれた。 俺や律香のときはそんなことなかったのに、やはり末っ子でひとり年の離れた千尋が嫁ぐとなると、寂しさもひとしおなのだろう。 横で飲みながら、俺も綾を嫁がせるときはこんな風に思うのかななんて思った。 「お父さんもう寝ちゃったの?」 「千尋に挨拶されたくなかったんじゃないか」 「いつまでも千尋には甘かったからね、お嫁に行かれちゃうのが寂しいのね?」 律香が親父の寝顔を覗いて、またキッチンに戻っていった。 .
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!