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とうとうやってきた千尋と颯太の結婚式前夜。
独身最後の夜だからと実家に戻ってきていた千尋と、俺の家族と律香の家族も実家に集まって大宴会だった。
千尋がしおらしく両親に挨拶、なんてことをする暇を与えないかのように親父が酔いつぶれた。
俺や律香のときはそんなことなかったのに、やはり末っ子でひとり年の離れた千尋が嫁ぐとなると、寂しさもひとしおなのだろう。
横で飲みながら、俺も綾を嫁がせるときはこんな風に思うのかななんて思った。
「お父さんもう寝ちゃったの?」
「千尋に挨拶されたくなかったんじゃないか」
「いつまでも千尋には甘かったからね、お嫁に行かれちゃうのが寂しいのね?」
律香が親父の寝顔を覗いて、またキッチンに戻っていった。
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