手紙 ～ PS I love you ～

この４ヶ月、恋人と連絡がとれない。

クリスマスイブに泊まりに来て一緒にチキンを食べ、シャンバンを飲み小さなホールケーキを食べた。

本当は付き合いだして5年目のクリスマスだから、思いきって高級ホテルでディナー。なんて洒落たことをしようとしたら恋人はそれより俺の部屋でゆっくりクリスマスを楽しみたい。と微笑んだ。

幸せな時間だった。

来年の春も一緒に桜を見よう。
夏には海に行こう。と話し、穏やかでささやかな時間。

俺たちはうまくいっていると。こらからもずっとこうしていられると。
そう信じて疑わなかった。

なのに…。
恋人が実家に帰ると連絡がきて以来、メールや電話を何度もしたが、そのうち「現在お掛けになった番号は現在…」と、音声ガイダンスが流れ一度も返事は返ってこなかった。

ガイダンスが流れてからは自分から連絡はしないことを決めた。

もしかして、うまくいっていると思っていたのは俺だけだったのか…。
そう疑うようになった。

鳴らない携帯でも充電は終わっていく。
充電が終わらないよう充電器につなぐ。

ベランダからみえる桜の枝に色づいたつぼみが膨らみだす。
恋人が大好きだと言っていた桜の季節が来る。

来年も一緒に見よう。と言った時の微笑み。
夏には海に行きたい。とまだ先の約束を交わし嬉しそうにはしゃぐ姿。

まだ鮮明に思い浮かぶ。
だからどうかこれで終わりにしないでくれ…。

その時、電話がなった。