第1章

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しばらく山沿いを沿っていくと、鹿が通りかかった。 俺は素早く急ブレーキを踏み、鹿が無事獣道の中に入って行くのを見届ける。 何も知らない獲物を狩るのは俺の趣味だが、アイツらは違う。無知というより無垢で汚れを知らない。 人間の欲情なんか汚れているどころか恐ろしいまでの自意識の塊で殺すしか救いようがないと俺に思わせる。 俺に寄って来る女は皆、俺を性欲の糧にすることしか考えていない。つまり傲慢で悪魔並みに邪悪で死ぬと神様への尊い行為に値するのだ。 俺の哲学はなかなか理解されないが、その理由は何となく分かる。達観しているかどうか、だ。この世はエンターテイメント。あるいは不幸という言葉遊びで愉しむ独りよがりな世界。 道が少しずつ凸凹し始める。 姉さん、待ってろよ。 俺は姉さんの死に際の言葉を脳内再生した。『どうして…龍…私を殺すの?』 そりゃあ、簡単さ。俺がただスプラッター映画に飽きただけだ。もっとCOOLな死を見たい。そこに〝本当の死〟がある訳だし。 姉さん、華麗に散ったな。命って花で例えるとしっくりと来ないかい? 俺はアクセルを踏み込み、凸凹道を乗り越えた。 実家までもうじきだ。久しぶりの姉さん、どこまで腐敗してるかな?ワクワクするよ。
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