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「彩芽さーん!」
「あ、ごめんなさい。彼が呼んでるから、行かないと。
それじゃぁ十々海先生。またどこかで」
忘れない能力の少女はぺこりとお辞儀をして、僕の元から去っていった。
彩芽さん。
えっとここまで出かかってるんだけどな。
何とか彩芽。
えーっと。もうちょっとで思い出せるのに……。
「学校で調べてみるか……」
10年前の名簿は大切に保管してあるから、たぶんすぐに分かる。
錦之宮楓。
彼女が僕の生徒だったと、それを証明する名簿だからな。
大切な名簿だからな。
「何だったかな。えっと、彩芽……彩芽……彩芽……」
思い出せない。記憶力が落ちた。
歳は取りたくないよな、全く。
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