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「…………」
だが、その場においてただ一人、重苦しい雰囲気を放つ少女がいる。リュゼである。
彼女だけはレイナとサーファの談笑に参加せず、ただ刺々しい視線でサーファを射貫き続けている。
「……ところで、そっちの。お前はそんなので足りるのか?」
流石にそこまで凝視されていると食べにくいので、サーファはため息交じりにリュゼに話しかけた。
突然、話しかけられたリュゼは一瞬動揺したようだが、すぐに平静を取り戻し、きつめの言葉を投げ返してくる。
「食事に関して先生に文句を言われる筋合いはないはずですけど?」
「とは言っても……」
サーファは少女二人の前の食事に眼を向ける。
レイナのメニューはボリッジと呼ばれる麦粥と、香辛料の利いた鴨のシチュー、そしてサラダ……レイナが比較的しっかり食べているのに対し、リュゼのメニューはベリージャムを縫ったスコーンが二つ、それだけである。
「成長期だろ? 食わないと持たないし育たないぞ?」
「余計なお世話です。私は午後の授業が眠くなるから、昼はそんなにたべないだけです。真面目ですから。まぁ、先生にそんなこと、関係なさそうですけど」
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