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「アヤって呼ぶなって言ってるだろ」
『なんで、いいじゃん』
「いいじゃんじゃねーよ、オレは綾瀬だ」
『知ってるよ、綾瀬だからアヤ短くて呼びやすいじゃん』
「はぁ。 あやせがあやで、たいして短くなってねーだろ、呼ぶなよ」
ちょっとイラっとした顔でジンを睨む。
『オレ…呼ぶし…呼びたいし』
チィッて舌打ちが聞こえてきそうな顔で
また睨む。
なんでだよ…なんでアヤって呼びたいんだよって聞くアヤにジンが言った。
「みんなが綾瀬って呼ぶじゃん…同じってのがヤなんだよ！」
幼なじみのオレがみんなと同じって、
なんかやなんだよなー。
オレはこれからもアヤって呼びたいし呼ぶって、
もう一度言った…。
お前、意味わかんねー …っざけんなって
怒ったけど、今更 怖くねーし、呼ぶし。
そもそも その呼び方はちぃちゃい頃からで
高1になって変えろと言われたって
オレだって困る。
アヤとは小中高と同じで…
ここの學園は初等部から大學までの付属校で高等部までは一貫教育。
何も無ければ大学までストレートで上がっていける。
ただし。 高等部までは男子校。
ここは男の花園と言われる。
(誰が言い出したかは知らないんだけど…)
……山手大學付属高等學園。 通称、山學。
初等部の頃のアヤは…それはそれは小さくて可愛い自慢の幼なじみだった。
中等部に上がるとグングン背は伸び、可愛い顔はドンドン、キリリとかっこよく可愛くなり
（どっちなんだ？）
萌男子と言われ…周りの友達からは食えそうと言われる？人気者になってた。
本人は全く知らない話。
(なんだーそれー)
高等部に上がった頃には學園の超人気者。
(でも、ここは男の花園。男子校)
アヤは周りから、どんな風に見られてるか
なんて、それこそ全く知らない。
この辺りの他校の生徒にも知れ渡るほどのかっこよさ。
でも、ズケズケと何でも言う、
顔はいいが口の悪い
こいつはオレの幼なじみのアヤ。
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