第1章

2/4
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
僕の育った町は東京湾から いくつもの運河が流れ込む京浜工業地帯に程近い。 とてもいい環境とは程遠い中で 僕は小学校を卒業するまで暮らしていた。 そんな工業地帯の僕の町も今では ライトアップされ光り輝く夜の工場が 人気のスポットと...夕方のニュースで取り上げらているのを 見て、ちょっと嬉しくなる。 今は生まれ育った工場だらけの町から駅の近くに引っ越し 家族3人で暮らしている 昔とはだいぶ家族構成は違ってしまったが... 僕はこれから 京急線に乗って三浦海岸駅に向かう。 三浦海岸駅からバスに乗り継ぎ母が眠る霊園を目指す。 もう母が亡くなり何年が経つんだろー あの町で3人で暮らしている時に父が亡くなり母とふたりで 暮らしていた頃とは、この駅の周辺もガラリと変わった。 京急線とJR線は地下街で繋がり 西口にはショッピングモールが出来 母が知っている街とは...だいぶ変わったなー そんな事を考えているとホームに快速特急が入ってきた。 扉が開き、足早に乗り込み反対側の扉の前に立つ。 携帯をポケットから取り出しイヤホンを耳に差し ミュージックホルダーをタップし外を眺める。 見慣れた風景が後ろへと流れていく。 横浜駅までは流れる建物も工場が多く 横浜、上大岡を過ぎると窓の外に緑が多く見える。 何箇所かの駅を過ぎ、またホームに停まった。 フッとホームの柱を目をやると 兄さんの勤務先のある駅に着いていた。 通信会社に勤める兄さんは1時間掛けて、通勤していた。 あと少しで三浦駅に着く。 携帯の時計を見ると もう少しで13時になるところだ。 駅前に立つ。 駅前と言っても数件のお店とバスロータリーがあるだけの小さな駅前。 霊園行きのバスの時刻表を見ると次のバスまではまだだいぶある。 僕は海岸まで歩く事にした。 中学生の頃は夏になると友達と電車に乗って ここまで泳ぎに来た事を思い出す。 毎年夏は真っ黒に日焼けしてたなー そんな事を考えながら歩いていると キラキラと太陽の光りを反射させた海が見えてきた。 目を細めるほど、強い光りを放つ海。 海を見ただけで、なんだかワクワクするのを感じて ....僕も海を見ただけで喜ぶようじゃ まだまだ子供だな!!って思わず笑ってしまった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!