第三章

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(俺のこの気持ちは……橘には、届かない。俺は……ユウ兄さんを超えられない……この先……ずっと……橘は……俺を好きになんか、ならない) その事を……突き付けられるような現実。 考えたくも無い事……だけどグルグルと頭の中を回るのは…… 「……俺が……どう足掻いたって……どう、頑張ったって……」 高校まで……追って来たって…… 大学とか……そんな先までユウ兄さんを想われたら…… 「いつになったら……橘は、俺を見てくれるの……」 このまま橘を好きでいて……その想いが報われる日は、来るのだろうか…… 問題集には、沢山の付箋が貼られていて、机の上にあったノートをパラパラと捲ると、いかに勉強しているかという事が、よく分かって…… 「……完全に、俺……邪魔じゃん」 自分で吐いた言葉に、自分で傷付いた。 俺は、問題集やノートを元あった場所に戻し、荷物を持って橘の部屋を出る。 廊下に出ると、相変わらず賑やかな声が聞こえて…… それが……今は苦しかった。
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