【最終章】

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人はね、そういう生き物なの。嘗て罪人の処刑は娯楽の一つだったのが、それを証明しているわ。アタシはそれが皆より、飛び抜けて突出してるわけ。あの占い師の言った、未来に待ち受ける世界に毒を振りまく悪い少女とは、このアタシの事だったのよ。あの悪魔はアタシの生まれる前兆だったのよ。アレは、アタシの化身。あの闇の中から聞えた声はアタシ。あの研究所の鉄の扉を開け、アタシを解き放ってくれたのはあなたよ。アタシは、あなたが殺人を犯す度に罪悪感と共に感じる、後ろめたい快楽感から生まれたの。あなたに吉田を殺した記憶が無いのは当然よ。吉田を殺したのはアタシだもの。そして、自殺した結子が地獄に行かなかったのは、結子が自殺じゃないからよ。吉田は、結子に自分が精神科で処方された薬を飲ませて、眠らせて警察に引き渡そうとしたの。間宮の死体の入った貸しコンテナを証拠にね。アイツ、薬が効き始めた結子に、もうそれで負けないと思ったのね、化け物って言ったのよ。何回も、何回も、何回も笑いながら罵ったの。結子はとても傷ついてた。その上、結子に乱暴をしようとした。その時、アタシはブチ切れ目覚めたの。飛び掛って、吉田の首を絞めたわ。
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