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瑠璃子のために
晴々としない毎日ですが、
大晦日を明日に控えた
年内最後の営業日は、
嬉しいご訪問がありました。
例の鷹藤侯爵家のみな様が
そろっておいで下さったのです。
「やあしばらくだねお菓子屋さん!」
先頭のシキ様がハイオット帽を脱ぎ
陽気な声をたてると、
花の香りをまとった洋装の紳士と淑女が
二組つづいて会釈をなさる。
「急に来てごめんね、
予告するとかえって
気を遣わせちゃうと思って。
紹介するよ、
こちらが弟のフィアンセの緑子。
美しいだろう」
シキ様が手を伸べた女性にウィンクなさると、
女性は恥ずかしそうに頬を染めました。
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