〈3〉 毒の奔流

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瑠璃子のために 晴々としない毎日ですが、 大晦日を明日に控えた 年内最後の営業日は、 嬉しいご訪問がありました。 例の鷹藤侯爵家のみな様が そろっておいで下さったのです。 「やあしばらくだねお菓子屋さん!」 先頭のシキ様がハイオット帽を脱ぎ 陽気な声をたてると、 花の香りをまとった洋装の紳士と淑女が 二組つづいて会釈をなさる。 「急に来てごめんね、 予告するとかえって 気を遣わせちゃうと思って。 紹介するよ、 こちらが弟のフィアンセの緑子。 美しいだろう」 シキ様が手を伸べた女性にウィンクなさると、 女性は恥ずかしそうに頬を染めました。
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