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リスティー=ワズリーの親切という名の前報酬により、彼女は俺に対して一族秘伝の固有魔導鑑定能力を使用し、俺の持つ天賦の魔導を覗き見てくれた。彼女の鑑定によるとアレス=エレクシオンに宿っていた固有魔導の内容は次のような内容らしい。
固有魔導の真名『色欲回天』
その力は、女性を愛するほど魔導士としての潜在能力が上昇。また愛された女性も同様に魔導士としての潜在能力をわずかに上昇させる固有魔導。
「すけこまし。最低の能力ね…心当たりは?」
「俺を殺してくれ…」
「あんた! 私にはずっと生きろ生きろそなたは美しいって言ってたくせに!」
「いやそこまでは言ってないぞ。確かに美しいけどな…」
カァアアと頬を真っ赤にさせながらリスティーが俺を指さす。
「そ、そういうとこよ!」
「そ、そうだな…気を付ける…」
ちなみに心当たりだが、全部ですかね??
俺は盛大なため息を吐いた。
「ちょっとごめんな…」
ブルーな気分に陥った俺をリスティーが慰めてくれる。
「ま、まぁ…元気出しなさいよ…生きてりゃそのうち良いこともあるわよ…」
「何で立場逆転してるんだ俺たち…」
「あたしの台詞なんですけど?…」
先程までの張りつめた空気が一気に崩壊した。
「ぷっ! くくく、あはははははは! おっかしー! あれだけあたしに説教垂れといてそれは無いでしょ!? あははははは!! くひひ、あははははは!!」
リスティー嬢、爆笑である。
「お前な……まぁいい…場が和んだのなら何よりだよ…」
こんなもんは俺のポジションではない。今すぐにユノに返却したいところだが肝心の地雷緑がこの場に居ないんじゃ仕方がないからな。この場限り笑われてやるさ。
「出発は明日の朝だ。荷物をまとめて…」
「あはは! あはははははは!!」
両の掌を天井に向けて俺は短くため息を吐く。
ダメだこりゃ…。
俺の固有魔導のせいでリスティーとすっかり仲良くなってしまった。時間をかけてゆっくりと口説いていく予定が台無しである。リスティーと一緒に暮らしていた子供たちとも仲良くなり、子供たちはリスティーと一緒であればとユグド王国に移住する話を快く承諾してくれた。
リリアナとハンターたちは一足先に近くの街の拠点に撤収してもらい、俺は何故かひとりリスティーの家にお泊りすることになってしまった。
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