1 新人と俺

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「先輩は、パワースポットに行くべきだと思うんですっ」  金曜日の午後五時五十五分。定時五分前だ。近藤マキの発言で、ピリピリしていたオフィスのふんいきが一気になごんだ。そこここから忍び笑いがもれるも、構ってやる者はいない。近藤の視線が俺にむけられているのは、端末から目を離さずともひしひしと感じられた。『指導担当のおまえがつきあってやれ』と言わんばかりの場の空気に押され、俺は顔をあげ、向かいのデスクに目を向ける。
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