てのひら

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外は雨 しっとりとした空気が部屋にも溶けて ここはまるでアクアリウム こぽこぽと聞こえるのは 安いコーヒーメーカーのドリップ音 まるで水中で空気の泡が上がるよう 柔らかなブランケット 枕を抱き締めて眠ると 直ぐそばにあの人が居るみたい 水草に 隠れたままに抱きあって ずっとそばに居ると言った あなたのてのひら 触れた場所 小さな火傷のように いつまでも熱を持つ あなたの唇 触れた場所 いつまでも寂しくなる 無機質なドアの音 去る足音 その音が消えるまで どうか夢から醒めないで 淡く消える人魚のように どうか私も あなたの中から消してください
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