最終話「フウキとフウシ」

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ーー卒業式も終わって、それぞれが名残惜しく教室や校内に残って騒いでいる中。 俺は茅野の腕を引っ張って、1組の教室から水音を連れ出した。 そのまま、風志と会長と待ち合わせしている屋上に向かう。 屋上の鍵を持って来てくれる2人がまだ来てなくて、3人で踊り場で待っていたら、待ち合わせ時間に20分も遅れて風志と会長がやって来た。 「も~風志、遅いよ」 俺が文句を言ったら、風志はなぜか疲れた顔をして、一緒に来た会長を睨む。 「隼人が女子に捕まってて、抜け出すのに大変だったんだよ…。廊下を歩く先々で呼び止められるんだぞ、まじイケメン面倒くせーな」 「う…悪かったよ風志」 疲れている風志に睨まれた会長は、苦笑して謝った。 まぁ卒業だし、会長が身につけてる物がみんな欲しかったんだろうな~。 俺はそう思いながら、鍵を開けてくれる会長の後ろからニヤニヤして言った。 「会長~、なんかあげたの?ブレザーならネクタイとか守るの大変だったでしょ」 「うっせーな、何もあげてねーよ」 会長は軽く俺を睨んで、開いた屋上に先に入って行く。 その際に小声で…「ネクタイは水音にあげるっつの」と呟くのが聞こえた。 わぁ、相変わらず会長は水音にベタ惚れだなぁ~。 ま、俺も風志とラブラブだもんね、ふふん。 「あっ、風志!風志はなんか女子にあげたりしてないよね!?ネクタイとか!」 「あげてねーよ」 後ろで水音と一緒にいる風志を睨んだら、風志が呆れ顔でそう言った。 ネクタイは緩められて首元にちゃんとある。 制服も欠けている物はないみたいだ、よかった~。
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