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リーグァンは眠らない。
たとえ空に夜の帳が降りようと、この街は眠りを知らないかのように、随所にともる灯りが消されることはない。
歓楽街に飛び交う客引きの声、酒場から漏れ聞こえる笑い声、それらが混然一体となって、『流民繁華街リーグァン』の空気を作り上げていた。
この街の歴史はジャングリラでは浅い。
と言うのも、かつて『存在していた』国、鳳華国からの流民が住民の過半数を占めるからである。
鳳華国は滅んだ。
神国アズマの東方の海に浮かぶ島国であったが、今からおよそ500年前、突如海の蒼に呑まれ、消える。
裏で糸を引いていたのは、とある一人の邪仙。
邪仙の手で列島の大火山が噴火したことにより地殻変動が引き起こされ、鳳華国は海に沈む運命を辿った。
その邪仙は、調停機関『ラタトスク』の手によって処罰されているが、行く宛てを失った鳳華国の者の殆どはアズマに渡ることとなる。
アズマに移住した鳳華国民が作り上げた街こそが、このリーグァン。
鳳華国の文化を色濃く残したまま栄えたこの街は、アズマではやや異色の街とも言えよう。
しかし、決してアズマの手を離れた街ではない。
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