第1章

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~6時間前~ 『お兄ちゃんなら、あたしが迎えに行ってくるよ』 土曜日の7時。家族みんなでの晩ご飯中、姉ちゃんが父さんに手を差し出した 『食べてからにしなさい』 母さんが冷たく、姉ちゃんに怒る 『免許取り立ての時は運転したいんだよ。な?』 父さんは、食べてる箸を置いて席を立ち、車の鍵を持って来て姉ちゃんの前に置いた。 『運転が無理だと思ったら、和也に変わって貰いなさい』 鍵を受け取る、姉ちゃん 『お兄ちゃんも、仕事で疲れて帰って来るじゃん。雄大も行くでしょ?』 え、ボク? そりゃ兄ちゃんと会うのは、大体三年ぶり。会いたいけど 姉ちゃんの運転かぁ…… 『大丈夫だって!あれはちょっと間違えただけでさ。』 昨日、実は運転免許を取って初めての姉ちゃんの運転。 エンジンの音と車が、見ていたボクめがけてバックで突っ込んで来た。 ギリギリで止まったから良かったけど、下手したらピカピカの4年生の一学期すらも過ごせなかったし。 そんなの見た後に乗るのも怖いし、断ろうかな 『なーんだ、雄大はノルマンのロールケーキ要らないの。』 や!それはズルい! 『せっかく街まで行くんだし。お兄ちゃんと二人で食べて来ようかな。期間限定の奴。感想教えるね』 『行くって!』 街にある駅。 父さんの運転で一時間と少し。 父さんの運転ならね。 ボクが、ごちそうさまと、茶碗を置くと同時に 『ほら、雄大行くよ!』 あ、待ってってば! ・
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