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それにしても、ずるずると高橋のペースに乗せられている気がする。
さっさと高橋の会社などとは縁を切って、もっとしっかりした派遣先を探さなければ。
一人冷静になると、不安が押し寄せたまらなく焦ってしまう。
なのに、いざ、会社で高橋と向かい合うと、なんとなく押し切られてしまうのだった。
やっぱり、あの笑顔が曲者だ……。
高橋の頼みを断ろうとするとものすごい罪悪感にかられて、つい……
今回だけですよ、
とか言ってしまう。
情に流されていては、早晩路頭に迷うに違いなかった。
先のことを考えると不安で一杯だった。
仮に、しっかりしたところで働く事ができたとしても、しょせんは派遣だ。
このまま、ちゃんとした正社員として働くことも出来ず、結婚も出来ず、数年ごとに派遣打ち切りに怯えながらあと何年今の状態でやっていけるのだろうか、と考えると暗澹たる気持ちになる。
いくら考えても、自分に明るい未来がまっているとは思えないから、ゆり子は、楽しそうにフリーターで食いつないでいるさやかののん気さが羨ましくもあった。
最も、さやかの実家は都内にあるし、両親は堅実なサラリーマンなので、一人娘のさやかが戻ったところで何とかなりそうな感じではあったのだが。
家にかえってみると、さやかはバイトに出てしまった後で、誰もいなかった。
ファミレスでバイトしているさやかは、夕方に入ればまかないが出るとかで、その時間に仕事をしていることが多かったのだ。
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