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私の至福の時間。
それは、行きつけの喫茶店で、大好きなミルクティーを飲みながら、物語の世界に埋もれること。
だけど・・・。
「新宮(にいみや)、何してるの?」
突然、クラスの男子に声をかけられ、小説の世界から、現実に引き戻される。
なぜ、和白(わじろ)君が・・・。
「お連れ様ですか?」
店員さんに声を掛けられた彼は、ふわふわな色素が少し抜けた髪を揺らして、柔らかい笑顔で、
「絶対違います!」
「あれ?おれたち、クラスメートじゃなかったっけ?」
全力で遮った私に、不服そうな顔。
当然でしょ。変な噂が立ったら、どうするの?
「空いている席へどうぞ」と店員さんに言われ、和白君は私の隣のテーブルに就いた。
結局、真隣に座ってるし。
和白君は苺パフェを注文していた。
小説の世界にまた戻ろうとするが、隣の和白君が気になる。
座席は窓を背にする。
スマートフォンをイジる和白君に柔らかい日の光が当たり、綺麗な表情を際立たせる。
彼の声はやや高めで、よく通る。クラスで声がすると、ついこの顔に視線が行ってしまうのだ。
でも、ふざけたなれなれしさが台無しにするんだよねえ。
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