快楽部実態調査

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(放課後どうするか......。ボディガードは必要だから、俺が辛くても絶対付き合わないといけない。楽になりたければこっちから会いに行ったほうがいいなーーああっ! クソ! 出てくんな!)  今後について考えようとしても快楽部の部長・課長たちの顔がチラついて振り払えない。  やけにイメージがハッキリしていると思ったら、実際にそのうちのひとりが目の前にいた。快楽部刹那課課長、九重米だ。なにやら気の毒そうな顔でこっちを見ている。  なんだテメぇ、失せろ。そう言い放ちたい気持ちをグッとこらえる。他の生徒がいる教室では不味い。 「何のご用ですか? 九重先輩」  いつも通り、顔と声を作って話しかけると、ドン引きされたのがわかった。「うわっ。なにコイツ、普段こんなキャラでやってんの?」と言いたげだ。  やっているんだから、平然と受け止めてもらわなくては困る。 「ああ、そうだっけ」  気楽に頷いてポケットから何かを取り出し渡してきた。プチプチシートだ。 「昨日の締めがアレだったから、アレで結論出されたらマズイなーって思って様子を見に来たってわけよ」  自分用にもシートを取り出し、プチプチ潰しながら話す。なんだかバカにされている気がする。 「その件なら僕に決定権はありませんから。説得して抱き込むなら葉櫓浦さんのほうにしてください」 「でも実際に、アンタは結論を左右できるだろ? それにあの子はきちんと見てくれるみたいだから、そんなに心配してないんだよ。何の責任も関係もないアンタみたいな生徒に理解されるほうが大切」  一応マジメに語ってはいるものの、 プチプチをひとつ潰す度に前髪で隠れそうな半眼を細めて表情をデロデロに崩している。 「自分たちで作った誤解だから、ハアーーなるべく後輩には、フウーー」 「何言ってるのか全然伝わらない」  合間に挟まる吐息が妙に色っぽくて、気が散ってしょうがない。時々マトモな気がしていたがコイツもやっぱり変人だ。  プチプチシートを取り上げ、もらった分と重ねて雑巾絞りの要領でまとめてブチブチ潰してやった。恨みがましい視線を真っ向から受け止め、不思議と作り笑顔がひさしぶりに会心の出来になっている気がする。
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