王子と姫愛

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「どーぞ」 彼は笑顔で素直に譲ってくれたので、ありがたくそのベッドを使わせて貰うことにした。 いそいそと上履きを脱いで、ベッドの上にあがる。ごろんと寝転がると、幾分かマシになったような気がする。 今日は朝から頭痛が酷い。このまま寝てしまいたいところだが、痛みのせいでそれどころじゃない。 どうせ戻ったところでいじめられるだろうし、家に帰ったところで気まずい。それならここでいるのがベストだろう。 ハンマーが鳴り響く頭の中で冷静に考え、瞼を下ろして外界をシャットダウンする。 真っ暗闇はこわいけれど、酷く落ち着く。私にはお似合いだ。 どれくらい経っただろう。せいぜい十分ぐらいか。やはり寝られずに寝返りをうって、目を開く。 すると、もういなくなったと思っていた人と、パチリと目が合った。
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