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「……こんなこと云うとさ、最低な奴だって思われるだろうし、またチナを誤解させるかもしれないけど。
彼女に泣かれるより、チナに泣かれる方が困る」
「……たかにぃ?」
「結婚も彼女だって無理だけど。
でも、チナは世界で一番可愛い妹なんだ。
なんだってわがままきいてやりたいし、泣かれると困る。
唯一、俺がかなわない相手。
……わかるか?」
「……シスコンってこと?」
泣きはらした目でチナがきょとんと俺の顔を見る。
「まあ、それでいい」
「なにそれ。
たかにぃ、変態?」
おかしそうに笑い出したチナのあたまを撫で回す。
これからもチナは俺の大事な妹だし、チナもちゃんと理解してくれたはず。
「チナをよろしくお願いします」
チナの結婚式。
親父はまだ、許した訳じゃないからなとごねている。
――あれから八年。
チナは誠実そうな相手を連れてきた。
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