第二話

2/9
60人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「…だからといって、休むわけにもいかないしな…」 入学してから一ヶ月経っても見慣れない巨大な門を見上げながら、俺はため息をついた。 第二話 どうしてこうなった 俺の通う学校…慶峡学園高等学校は、山の麓辺りにある男子校だ。 辺りが緑一面で何もない中、突然現れるこの高校。 いや、始めてみたやつならこれは本当に高校なのかと疑うのは間違いないだろう。 それほど、この高校は馬鹿げた広さを持っている。 理事長はなるべく普通の学校に近付けたかったらしいが、どう考えても普通の学校と違いがありすぎる。 まず、さっきも言ったように、門がデカイ。 どこかの豪邸にあるような馬鹿みたいな大きさ門。 どうして門をこんなに大きくする必要があったのだろうか。 次に、校舎。ここは高級ホテルか何かか、と言いたくなるような、高級そうな壺や絵画が置かれた廊下。 床は大理石か何かか、自分の顔が映りそうなほどに反射している。 床が大理石の学校なんて、普通の学校なはずがない。 教室はこれまた馬鹿みたいに広い。床は同じく大理石のようなもので出来ている。 だというのに、机や椅子、教卓や黒板は普通のもの。アンバランス感が否めない。 それ以外にも何故廊下から見える中庭に噴水があったりと、何かと普通からかけ離れている。 そんな学校へ何故俺が通っているのかというと、結香にほとんど無理やり入れられたからだ。 中学の進路希望で俺の紙を奪い、ここの学園を記入してそのまま提出しやがった。 そのおかげで、俺はしなくてもいい勉強をするはめになった。 この事に関して、一生あいつを許す気はない。 結香がこの学校で何かをしたという時点で来たくはなかったが、そうも言ってられず。 しぶしぶ学校へ来た俺は教室へと向かっていた。 廊下を歩いているのだが、なんだか妙に違和感がある。 さっきから人に避けられてることか。…いや、それはいつも通りか。 なら、何だ? 「ほら、あいつが噂の……」 「見た目はあれだが…でも……」 「獅子さま、今日もクール……」 これか、原因は。 いつもよりざわめいてるのか。何でかは知らないが。 俺の方を見ながらひそひそ話す奴等を見るとビクッと肩を揺らした後、一目散に逃げていった。 ……一体なんだったんだ。 気を取り直して教室へ向かうと、後ろから声をかけられた。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!