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「リリージューンさん」
「あら卯月じゃない」
手を止め、どうしたの?と訊ねられるが、その表情は明るい。
移動することにもう反対の意思は全く感じられなくて、私は嬉しくなった。
「書庫の荷造りって終わったのかな~?って気になって、来ちゃいました」
「もう医務室は終わったの?」
「はい。自分のも終わりました」
だから暇なんですと、隣に座る。書物を入れるように木の箱は3個あったが、まだふたつは空っぽだった。
「なので手伝いますよ」
ぐいっと袖を捲り上げる。
所狭しと並ぶ本棚はたくさんあって、高い天井びっしりに収められている。今まで行ったどの図書館よりも圧倒的に数が多くて、それをひとりで詰めるとなると、相当な時間が掛かるのは目に見えて分かった。
「ありがとう」
リリージューンさんはにこりと微笑んだが、ふるふると首を横に振る。
「でもすぐに終わるわ」
「え?」
まだまだ本はいっぱいあるのに?
意味が分からなくて、きょとんとしてしまう。
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