第六章 火の華2

6/27
58人が本棚に入れています
本棚に追加
/190ページ
 お披露目の広場は、提灯が下がり、 周囲は幾重にも重なる人で溢れていた。 広場を通り過ぎ、その先の神社に最初の山車として奉納される。 神社は一般の立ち入りが禁止されていた。  どの山車も、この広場で一興催してくれる。  それが、この祭りの最初の山場であった。 「鬼同丸の山車の登場です」  アナウンスも流れてくる。  提灯の灯りが消え、会場が真っ暗になった。 そこに、真っ黒な着物が現れる。 俯いていた着物姿が前を向くと、空中に飛び上がる。 黒の衣装は消えてゆき、艶やかな赤い着物姿が浮かぶと、 真っ赤な山車が一瞬で現れ、沢山の引手の掛け声に、 威勢のいい声が響き渡り始める。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!