第一章

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あーあ。また朝が来た。 起きたくない。 布団の中で、会社を休むシミュレーションをしてみる。 家の真ん前の道路が陥没して家から出られません、とか、祖母が亡くなったので忌引き、とか。 僕は過去にもいろいろ理由を付けてはずる休みしてるので、後で必ず確認が入る。家の真ん前の道路は最近鋪装し直されてむしろかなりきれいだし、おばあちゃんは既に三回は登場してもらってる。…無理だな、ばれる。 やっぱり腹痛くらいにしとくか…。 と思って布団にもぐり直そうとしたら、 「もう起きなさいよー!」 と、母の声が、階下からにもかかわらず強い空気圧をもって僕の枕元に届いた。 あーあ。ゆるーく生きたい。 僕ほど布団の似合う奴は世界探してもいないよ、きっと。
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