第1章

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「うっわー、麗、ダセーっ!」 「あんたそんなの抱えてここまで来たの?」 「ああ、そうだが、何か?」 「何か、ってあんた、気にならないの、だってさー」 「人から預かった。別にどうということはない」 「ないっちゃないけどさ、あのー、でもっ!!」 「もう少し、自分の見てくれ考えた方がいいと思うよ?」  「お前たちこそ、気にしすぎるんだ」 「いやー? 違うと思う!!」 慎一郎は額に手をやった。 「失礼」そう言ってドアを開ける。 「立ち入り禁止と張り紙をしているが、見えないのかね」 ドアの向こうには、彼のゼミ生たちに姪まで加わって輪を作っていた。 中心にいるのは、柴田麗とでっかいぬいぐるみだ。 あれは、まさか? 「柴田――」 ぱくぱくと二の句が継げないでいると、麗は目礼をし、「改めた方がいいでしょうか」と慎一郎を飛び越し、中にいる面々を見て言う。
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