3人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「うっわー、麗、ダセーっ!」
「あんたそんなの抱えてここまで来たの?」
「ああ、そうだが、何か?」
「何か、ってあんた、気にならないの、だってさー」
「人から預かった。別にどうということはない」
「ないっちゃないけどさ、あのー、でもっ!!」
「もう少し、自分の見てくれ考えた方がいいと思うよ?」
「お前たちこそ、気にしすぎるんだ」
「いやー? 違うと思う!!」
慎一郎は額に手をやった。
「失礼」そう言ってドアを開ける。
「立ち入り禁止と張り紙をしているが、見えないのかね」
ドアの向こうには、彼のゼミ生たちに姪まで加わって輪を作っていた。
中心にいるのは、柴田麗とでっかいぬいぐるみだ。
あれは、まさか?
「柴田――」
ぱくぱくと二の句が継げないでいると、麗は目礼をし、「改めた方がいいでしょうか」と慎一郎を飛び越し、中にいる面々を見て言う。
最初のコメントを投稿しよう!