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「嵐武様。仕事をサボらないで下さいと何度言ったら聞いて下さるのですか」
人間界で言えば昼下がりの時間。
今日も仕事をサボっている駄目神を叱咤して仕事机に磔の刑にしていました。
「なんっでだよ!今日のノルマは達成しただろーが!」
「ノルマとはなんですかノルマとは。仕事は常に溜まってるんですから、きちんとこなして下さい。でないと溜まりに溜まって御叶神様のようになりますよ」
「ああはなりたくない!だが仕事もしたくない!」
「ニートを極めてどうするんですか」
ぎゃいぎゃいと喧騒が屋敷中に響き渡ってます。これが人間界なら近所迷惑に該当するんですが、ここは神界。神の世界は人間界よりもはるかに広いので、神の屋敷は隣接してません。なので必然的にどれだけ騒ごうが叫ぼうが、約2㎞も離れたお隣さんにも聞こえないというわけです。
ですが、毎日のようにこのやり取りが繰り返し行われるのも如何なものでしょう。
毎日毎日仕事をしたくないだのサボりたいだの、神にあるまじき発言ばかり。本当になんでこんなのが私の主なんでしょうね。時々本気で疑問に思うことがなくもないです。
「わかりました。ノルマというなら私が決めましょう。今日中に部屋の3分の1の書類を片付けなさい。できなければ嵐武様の寝室を爆破します」
「おい寝室はやめろ!あの枕と布団じゃねぇと眠れねぇんだよ!不眠症になっちまうわ!」
「多少の寝不足なら良いんじゃないですか?空き部屋は沢山ありますから適当に寝転がれば睡眠はとれるでしょう。そしてそんな事態にならぬよう仕事を頑張って下さい」
「嫌だぁぁぁ!!もう十分頑張ったぁぁぁ!!俺頑張ったもん!引きこもって趣味に没頭しても良いじゃねーかよ!」
神が仕事ほっぽって昼間っから趣味に没頭しないで下さい。
「まったくあなたというひとは……もっと神としての自覚を持って下さい。何年神やってるんですか」
「えーっと……ひぃふぅみぃ………長すぎて覚えてねぇわ」
「……ああ、ボケが始まるお年頃なんですね。失礼しました。では忘れないうちに書類を片付けて下さい」
「失敬なっ!ボケてねぇわ!!」
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