気づけば落ちているんだそうです。

35/40
1279人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
亨は相変らず、忙しいらしく受付を通過する姿しか見ていない。 「なんだかねー。開発部が出した新商品の売り出し方で、上ともめてるらしいよ」 昼休みが一緒になって、美佳がそんな情報を提供してくれた。 「え、どこ情報?」 「私、彼氏が開発部にいるの」 そういえば、私は自分の話ばかりで美佳の話を聞いたことなかったけど。 彼氏がいるのか……開発部、と聞いてふと思い出した名前を言ってみる。 「……吉川さん?」 「しばくわよ」 思いっきり、鼻に皺を寄せて睨まれた。 そこまで嫌悪感出さなくても……でもまぁ、吉川さんのウザさを理解してくれる人で良かった。 変な誤解もとけて、先輩とは以前のようにはいかないけれど業務上はとりあえず問題ない。 ただ、亨と私の関係だけはなんの進展も後退もなく、また土日を挟むことになる。 土曜日に颯介くんから電話がかかって、日曜にまた図書館に行く約束をした。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!