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大きな荷物を下ろした後、まずは締め切っていたサッシを開ける。
流れてくる風が頬を撫でて、心地いい。
私は冷たいお茶で乾いた喉を潤すと、クローゼットの奥から低い脚立を引っ張り出してきてカーテンを外し始めた。
部屋のインテリアにも何もこだわっていない私が最初に選んだのは壁の色とさほど変わらないベージュのカーテン。
それを外し終わると、買ったばかりの新しいカーテンにフックを付けてカーテンレールに取り付けた。
風を受けて揺れる真新しいカーテンは、透かし模様の入った薄い水色のカーテンだった。
部屋の中に青空が広がったみたいに、雰囲気が明るくなる。
私は一人満足気に頷いた。
一目惚れのペアのカップも洗って食器棚に仕舞った。
この時、私は変な決意をしていた。
このカップは…
…いつか、特別な時が来たら使おうと。
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