EP77 決断

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だが次の瞬間、燃え盛る炎の中から巨大な水柱が出現し、溢れ出す水が周囲の炎を掻き分け、中からカイトが姿を現した。 カイトは水属性初級魔法のウォータで生み出した水を使い、自身を包み込んで攻撃から身を守っていたのだ。 相手が炎属性の攻撃なら空間に存在する酸素を瞬時に枯渇させる風属性上級魔法のサファケイトを使った方が確実だったのだが、ここはアルカディの地下深くに位置する空間であり、酸素に限りがある。 酸素を取り込む為の装置が常に作動してはいるが、重傷を負った今の状態で酸素濃度を自ら下げる行為はあまり得策とは言えない。 自らの首をしめる事になりかねないし、初級魔法には同じ初級魔法で対抗した方が上級魔法を使うより遙かに魔力を温存出来る。 これらの理由からカイトは渾身の力を振り絞って全力のウォータを発動させ、水の壁を作り出す事でカトレアの攻撃を凌いだのだ。 しかしやはり体に刻まれたダメージは深刻であるらしく、その場から動く事は難しいようだ。 吐血し、両手を床について息をするカイトの姿がそれを如実に物語っている。
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