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気付くと僕は、銀色の部屋にいた。 見渡す限り銀色で、だだっ広くて銀色の壁と床の他には何もない。 いつの間にこんなところへきてしまったんだろう。 今まで何をしてたのかも思い出せない。 出口はないかとキョロキョロと見回す。 ドアも何もない。 僕はこの銀色の部屋に閉じ込められてしまったのだろうか。 すると突然、ゴォっという音が鳴り響き、目の前が真っ白になった。 僕はあまりのまぶしさと音のやかましさに、目をつぶり、うずくまる。 すぐに音は止み、元の静けさが戻った。 なんだったんだ? 僕はおそるおそる目を開けた。さっきと違っていることがある。 目の前に見た事のない男がいるのだ。 ひどく太っていていまにも破裂しそうだ。 その男はおびえた様子で僕を見ている。 「き・・・君は誰だい?」 太った男が言う。 「僕は・・・・・誰だっていいだろう。君こそ誰だ。どうやってここへきた」 僕は、内心おびえていることを悟られないようにグッと男の目を見据えて言った。 太った男は悲しそうにうつむいた。 「わからないんだ・・・ただ気付いたらここにいた。君は何か知っているのかい?」 男はうつむいたままはぁっと溜息をつく。 その様子をみて、僕もなんだか力が抜けた。 「僕も同じだよ。気付いたらここにいて、すごい音がして、・・そして目をつぶって、また目をあけたら君がいたんだ」 2人になっても状況は同じ。変わらないってわけだ。 僕は何か悪い夢でも見ているのだろうか。 ここに来る前はどこにいたんだっけ・・・思い出せ、思い出せ。 ・・・だめだ。頭の中が真っ白だ。 僕は頭をかきむしる。 「そもそも、なんだか変なかんじだ。僕はなんなんだ?」 太った男が言った。僕が黙っていると男はつづけた。 「ここがどこなのかも、どうやってきたかもわからない。でもそれだけじゃない・・・僕・・・僕は誰なんだ?頭に・・・・・モヤがかかったようなかんじだ・・・・わかるかい?」 そんな泣きそうな顔をされても困る。 だけど、僕も同じだ。黙ったまま頷く。 「そうか、君もか・・・・一体僕たちどうしちゃったんだろうな・・・」 太った男と僕は途方にくれて、2人で座り込んだ。
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