第1章

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妻が作ってくれた弁当を、家族全員でつまみながら、娘の走っていた姿を誉めてやりたい。 三角に握っていたおむすびの具は、一つはたしか鮭フレークだった。 もう一つは、焼きたらこ。 ウインナーは、タコとカニ。 卵焼きも焼いて、ハンバーグはちゃんと挽き肉をこねて手作り。 ほうれん草とコーンを炒めて、サラダを敷いて、プチトマトも添える。 平凡だわねと笑いながら、そこにきんぴらを追加。 夕べの残りまで詰めちゃったなんて言っていたけれど、夕食のときに娘が「美味しい、美味しい」ってパクパク食べていたから、妻がこっそり自分の分を取り分けていたやつだ。 家族全員で食べるんだったら、きっとおかずはもっと種類も量も増えるだろう。 青空の下のそんな風景は、もうないのか。 俺と妻、二人だけの弁当をシートに広げれば、それは娘の弁当の残り物に唐揚げが追加されていた。
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