浮遊クラゲ

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「今、スタッフさんたちがローラー作戦実行中ですから。迷子ちゃんはすぐに見つかりますよ、だからそんなに思い詰めないでください」  まるでスタッフのひとりみたいなことを言うんだなと、呆然として聞いていたら、横から女のスタッフさんが「あら、松川さん。今日は公休でしょうに」と口を挟んできた。  やっぱり警備員だった?  ちょっと警戒して見上げると、男のひとはますます苦笑を深めて「僕、ここのスタッフなんです。一応、ペンギン担当で」と自己紹介してくれた。どうやら私を補導するつもりで追いかけてきたわけではないらしい。 「ペンギン……」  頻繁に水族館へ来ているわけではないから、ペンギン担当と言われても「ああ、あのひとね」とは合点しない。 「まあ、僕のことはいいんです。それより、二時間くらい前からアナウンスしている迷子ちゃんって、もしかしてあなたのお探しのお子さんですか」  私はずっと座ったまま話していたことに気がつき、慌てて立ち上がった。 「あっ……そう、そうなんです」 「おっと、座っててくださっていいのに」  松川さんはきょとりとして、それから柔和な笑みを浮かべ「どうぞ、座ってください。お疲れでしょう」と気遣ってくれる。
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