探し物

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面接室のドアが開き、若い男性社員がこちらの様子を窺った。 私はドアの近くに並んだ椅子に腰をかけている。 その並びの椅子には、同じ会社の面接を受けに来た女子学生が私の他に3人座っていた。 「えーっと……、一人は来てないみたいだけど、まあいいか……。お待たせしました。それでは面接を始めるので、部屋の中にお入りください」 男性社員が先に部屋の中に入り、一緒に座っていた女子学生がその後を追う。 私もその後について部屋の中に入った。 入った部屋の奥には長めのテーブルがあり、中央の席にはおそらく役員であろう年配の男性が座っていた。 その右隣に30代くらいの男性社員が座り、左隣には先ほどの若い男性社員が座った。 テーブルの3mくらい前には椅子が4つ、一列に並べてある。 「それでは、そちらの椅子にお座りください」 先に部屋に入った女子学生から「失礼します!」と声高らかに発声し、ドアに近い方の椅子から順番に着席する。 それにならい、私も「失礼します」と言いながらドアから一番遠い端の椅子に着席した。 「みなさん、本日はこの日照りの中、弊社までお越しいただきありがとうございます。これより、弊社選考におけるグループ面接を始めます。それでは、まずは順番に大学名と名前をお願いします」 ドアに近い方の女子学生から順番に自己紹介が始まった。
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