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甘酸っぱい青春の思い出。あれから随分時が過ぎ、私は28歳になった。
ありがたいことに、現社長はまだまだ健在で。
私が社長の地位を継ぐまでもう少しの猶予がある。
そしてほんの数十分前、丁度仕事が終わったときに、突然『彼』に呼び出された。2週間に1回はこういったことがあるから、彼のマイペースっぷりにもすっかり慣れてしまった。
彼―風間くんは、何年もの日の目を見ない時代を乗り越えて、最近『試供品芸人』というキャラでテレビに出始めている。
その名の通り、ありとあらゆる試供品を使って、その感想やら魅力を面白おかしく伝えるというもの。
その大半は、社長令嬢の私が提供している。自社の試供品はもちろんのこと、仕事上の付き合いで試供品をもらうことが多いのだ。
何か、風間くんにうまく私の立場を利用されている気がする。別に構わないけど。
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