夢が消えかけるその時に

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「どーも、ありがとうございましたー!」 高校3年生の冬場の教室にしては、場違いな空気。 他のクラスは受験モードでピリピリしているというのに、この教室だけ単独お笑いライブの会場になっている。 「翔汰のネタ、マジ最高だわー!」 「ほんと、翔汰なら絶対芸人になれるわ!」 「そう?サンキュー。」 彼とその周りを取り巻く空気は、ストーブとはまた別の熱で暖まっている。 教卓の横で賛辞を浴びている彼の名は、風間翔太。男子いわく「面白い奴」、女子いわく「イケメン」と、上々の評判の持ち主。 ただし、私は彼と会話を交わしたことが一度もない。 それどころか、高校3年になっても未だに、クラスの人と話したことがほとんどない。
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