雨の週末

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**  心配がなかったわけではない。  もしまたいなくなっていたら……、  電話は、ワンコールで繋がった。  安心のあまり、豪太は、スマホを手に、その場に座り込みそうになった。  なんの用かと聞かれたから、声を聞きたかった、と答えた。  さっき別れたばかりじゃないかと、呆れられた。  愛している、と伝えると、絶句された。  しばらく無言が続いた。  豪太が心配になったころ、唐突に、週末のニュースの話を始めた。  「お前から着信があるまで、ニュースサイトを見てたんだ。週末のニュース、全然仕入れてなかったから」  声が少し、揺らいでいる。  ほかの人にはわからないほど、微かな震えだった。  だが、豪太には、はっきりと感じ取れた。  胸の鼓動が早くなっていく。  自分の声まで震えてしまわないよう気を付けて、豪太は言った。 「ごめん。僕のせいだ」  テレビのニュースを見せてあげなかったこといい、  帰っていくときの歩き方といい。 「……やりすぎた?」  鼻で笑われた。  不意に、ひどく慌てた声がスマホから聞こえた。  「窓の外! 窓の外を見ろ!」  言われたとおり外を見ると、赤くて大きな月が見えた。 「ストロベリー・ムーンって言うんだってさ」  遼は言い、確かに見たかと、念を押してくる。  見た、と答えると、電話は切れた。
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