26人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「だから……」
口ごもってしまった私の顔を、慶太が怪訝そうにのぞき込む。
でも、原因が慶太だなんて、説明できない……。
そもそもの発端は、支倉部長に部活前、部室に呼び出されたことだ。
バドミントン部のマネージャーをしている二年の私と、部長で三年の支倉部長に接点があるのは当たり前で。
呼び出されて、告白され。
――そして。
「……すみません。
支倉部長とはお付き合い、できません」
「長藤のことが好きだからか?」
こくんとひとつ頷くと、支倉部長ははぁっと小さくため息をついた。
「……長藤が小向のこと、好きになることがないのはわかってるのにか?」
再びこくんと頷きながらも、じわじわと涙があがってくる。
俯いた足下には水滴が落ちて、慌てて顔を上げて涙を拭う。
慶太には大事な彼女がいることはわかってる。
最初のコメントを投稿しよう!