taraget ターゲット

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taraget ターゲット

『零。五十メート先、ターゲット確認』 『了解』  蜩朧は、インカムを切り、ターゲットに気づかれない様に横を通り過ぎ、自動販売機でコーヒーを買う。 ☆ 「あの、すみません」  突然自分に声を掛けてきた三つ編みの女性に優しく声を掛ける。 「どうしたの?」 「すみません。この場所に行きたいんですけど? 道、分かりますか?」  三つ編みの女性に変装した一夜零は、天童穂積に一枚の写真を見せる。 「ここなんですけど?」 「!?」  零が差し出した写真を見た瞬間、その場から逃げ出す穂積。  写真の中身は、ホテルの一室で茶髪の女性とターゲットがまさに密会している瞬間を捉えたもの。 ☆  コーヒーを飲んでいた朧のインカムに、零の声が届く。 『朧。あとは任せた』  作戦通り、自分の前に現れた穂積に朧はコーヒー缶をゴミ箱に捨てながら声を掛ける。 「ねぇ?」  いきなり見知らぬ男性から声を掛けられ、その場に立ち止まってしまった。  不意に、自分の名前を知っていた男性と目が合ってしまう。  男の恰好は、ダークブラックのスーツに白シャツに赤いネックタイ。そして、スーツと色を合わせたダークブラックの靴。  穂積は、一応警戒しながら声を掛ける事にした。 「あの? 私になにか用ですか?」 「はい」  男は、一言そう呟くと自分の腕を掴んで来た。 「いきなり何をする」  腕を振り払おうとするが、払うことが出来ない。それどころかどんどん力が強くなる。 「それは、出来ない相談です。あなたが我々の質問に答えてくれるなら離します」 「いいから離せ。質問って何のことだ」  もう一度、離せと穂積が朧に向かって叫んだ瞬間、 「朧、時間かかり過ぎ。俺、着替え終わったぞ」  一夜零が変装を解き、蜩朧と同じ格好スーツ姿で現れた。 「零。この兄ちゃんが中々口割らなくて」 「お前、さっきの」  零の顔を見て、穂積の顔が真っ青に変わる。 「さっきはどうも」」 「…」 「お兄さん。もう一回聞くけど、ここ何処か知らない? 一緒に写ってるのお兄さんだよなぁ?」  写真を穂積の顔面に押し付ける。 「答えた方が賢明ですよ。どうせ逃げらませんから」 「逃げても、お兄さんのデータ全部把握してるから、どこに逃げても捕まえに行くけど」 「何者だ」  質問されるのを待っていたかのように、真っ青のままの穂積の耳元に、優しく一言、囁く。 「BLACK BIRD」  
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