391人が本棚に入れています
本棚に追加
/253ページ
それからの鷹雄の日々は目まぐるしく過ぎていった。
保が店にいる間は保が綾乃を守ってくれるので、車の教習所に通う事になった。
元々社会人になったらお金を貯め免許を取りに行くつもりだったが、清掃会社で働いていた時期の後半は負担させられた他人の仕事と睡眠不足で、教習所に入学する気力も失われていたのだ。
一度も落ちることなくストレートで取ってやると真剣に取り組む。
また、その合間にオヤジの指導を受ける。確かにオヤジは言葉が乱暴で厳しいことも多かった。鷹雄だけでなく彰悟や保に対しても檄が飛ぶ。
でもちゃんと育てようと思っていることが伝わってくるので少しも怖くは無かった。
保はとても面白い人だった。
ズバズバ物を言うので慣れないうちはどきりとすることもあったが、綾乃や彰悟の反応を見て悪気はないのだとわかったし、面倒見のいい兄貴という感じで頼りになった。
それに保が彰悟の子供の頃の話をしてくれるのが嬉しかった。
彰悟は小学3年の3学期から大阪の学校に転校したのだが、
関東からきた綺麗な顔の少年はなかなか受け入れてもらえなかった。
当の彰悟はそんな子供のいじめなど可愛いものだと思ったし、
朝日堂の面々のおかげで大阪人が大好きになっていたので、
それほど苦には感じてはいなかった。
最初のコメントを投稿しよう!