踏み出した一歩

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綾乃がくすくす笑い、鷹雄が 「へえー、さすが保さん、凄いですね。」 と感心すると、保が急に真顔になりこう言った。 「実はな、この話には続きがあるねん。 俺がな、更なるアドバイスをして女子にもウケるお笑い王子に仕立てたろうと意気込んどったのにな、こいつ運動会のリレーアンカーでは三位から追い上げて優勝するわ、サッカー大会では得点王になるわ、背がどんどん伸びてイケメンになるわで、あっという間に女子にキャーキャー言われる、ただの王子になってしまいよったんや。」 「あははははっ。」 鷹雄が爆笑し、保は満足そうな顔をする。 『あ、ほんとだ。ウケて嬉しそう』と 思いながらも、なかなか笑いが治まらなかった。 『ああ、俺、今すごく充実してるなあ。 毎日忙しいけど楽しくて仕方ない。こんなに幸せでいいのか怖くなる』 そして横でにこにこ笑っている彰悟をみて、ほんとに彰悟さんって王子様みたいだよなと 思った。 そして、自分が幸せを貰うばかりではなく、早くもっと彰悟の役に立つようになりたいと思った。
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